北熊本製作所 北九州支店

鉄道×電子工作×温泉×送電線

直流送電線

「距離0kmの直流送電 南福光連係所」(公開時期未定)の前置きとして、直流送電について解説します。
(難しいので公開が遅れそうです。公開したとしても、詳しい話ができないかも。)

ご存知の方は適宜読み飛ばしてください。

基礎:交流送電とは・高電圧送電の利点とは
通常、送電は交流で行われます。交流とは、下の図のように、電圧の大きさと極性がきれいな波を描くように周期的に変化する電気です。交流には、この波が1秒間に何回繰り返すかを表す「周波数」というものがあります。日本の電力の周波数は50Hzと60Hzの2種類で、この波の山と山の間隔(周期)は、50Hzなら1/50秒、60Hzなら1/60秒です。
それに対し、電圧が波にならないものが、電池などから得られる直流です。

60Hz周期付き2

交流を用いると、変圧器を使って電圧の変換が容易にできます。これを使えば、高い電圧で送電することができます。
高い電圧で送電すると何がいいか…少ない損失でたくさんの電力を遠くに送ることができるのです。
導体には、電流の流れを妨げる電気抵抗(略して抵抗)があります。送電線もそうです。ですから、送電線に電流を流すと、抵抗で妨げられ、送電線の終点で取り出せる電圧が小さくなり、電力も失われてしまいます。電圧や電力の損失は、電流が大きい方が大きくなります。(電圧の損失は電流に比例、電力の損失は電流の2乗に比例)
損失を小さくするには、電流を小さくすればいいですが、電圧もそのままでは、電力(=電圧×電流)、エネルギーも小さくなってしまいます。そこで、電流を小さくする分、電圧を大きくしてやって、大きな電力を送ることができるようにしているのです。

送電線で送られてきた大きな電圧の電気はそのままでは扱いづらいので、いくつかの変電所を通って徐々に電圧を下げていきます。このとき、変圧器で電圧を下げますが、電圧を下げても、取り出せる電力はほぼ同じ大きさになるという性質があります。最終的に電柱に取り付けられた「柱上変圧器」で100V/200Vの扱いやすい電圧になって家庭へ運ばれます。

本題:直流送電
対して、直流送電では、電圧は波にはならず、一定です。電圧を変えるのも特別な装置が必要になります。これは、特に長距離の送電線や、海底ケーブルによる送電線に向きます。

交流送電では、電圧は最大値と0とマイナスの最大値を行き来します。「マイナス」が付くのは、極性がひっくり返るためです。送電線やその他の設備は、この電圧の最大値に耐えられるものにする必要があります。(絶えられる電圧を耐電圧といいます)
また、送られている電力も最大値と0を行き来していて、基本的には電圧が最大値のときに送られている電力が最大値になります。一方、電圧が0のところは電力も0になります。

60Hz電力

図を見てのとおり、ピンクの線で表される電力も波になっています。
と、いうことは、電力が送られていない瞬間が周期的に存在するということです。また、電力も大きくなったり小さくなったりしているので、小さな電力しか送っていない瞬間もあります。

じゃあ、電圧をずっと最大値にしておけば、電力もずっと最大にできて、平均して比べるとしてたくさんの電力が送れるんじゃない?というのが直流送電です。

DC電力

高い電圧に耐えられる設備を作るのには予算がかかります。
絶えられる電圧が同じ設備でも、直流送電は常に最大の電圧で最大の電力が送れるので、設備やそれにかかる予算を有効に使えるわけです。
ただし、電圧変換や、直流から交流、またはその逆の変換をして、通常の送電線に接続するための設備に金がかかります。ですから、設備に比べて電線(ケーブル)に金のかかる場合にしか用いません。たとえば海底ケーブルによる送電や、距離の長い送電線に用います。

また、送電線の距離が長くなると、交流電流を妨げようとする「インダクタンス」というものが働きます。また、特に長い送電線の場合、電磁波としてエネルギーが漏れ出してしまいます。これを避けるためにも、距離の長い送電線には直流送電が向くわけです。
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